機動戦士Zガンダム第4話「エマの脱走」

●暴走カミーユ

前話で最悪の結末を迎えたヒルダ人質作戦ですが、当然怒りに震えるカミーユはジェリドのハイザックを攻撃します。そこへクワトロ隊とエマが出撃しさらにはライラ隊まで乱入。誰も事態を正確に把握できずに戦闘だけが続く、こうした救いようのない混乱がTV版Zのひとつの本質といえます。それはもしかすると「ガンダムの新作を作る」という状況そのものの投影なのかもしれませんが。

なぜかパイロットスーツ色の一般ノーマルスーツ。

エマはカミーユの火に油を注いでしまいます。彼女自身が若いので仕方がないですが。劇場版ではもう少し余裕のある人物として描かれています。

ヒルダは死亡しましたが、エゥーゴバスクの要求をのむことにしました。クワトロとヘンケンはエマが将来的にエゥーゴにつくだろうという期待をしており、その上での判断です。


アレキサンドリア

出港時に正規軍カラーだったガディ艦長の制服が紺+黒になっています。まあ、前作のがミスというのが真相でしょう。

カミーユとMk-2はアレキサンドリアへ。
フランクリンは愛人のことをカミーユに皮肉られ、それを聞いていたバスクにも持ち出され、何も言えなくなってしまいます。とことん情けないオヤジです。
ジェリドはカミーユを挑発してみせつつ、自分を殴らせようとします。彼なりにヒルダを殺してしまったことに対する責任の取り方(?)なのでしょうが。Zの登場人物たちは敵味方問わずコミュニケーションがうまくいきません。
しかしジェリドは作戦の内容には疑問を抱かなかったのでしょうか。上官から事前に説明されていた作戦内容が嘘で、より非人道的なものだったというのに。一方で疑問を感じていた兵もいるわけで、それがこの後脱走するエマなのですが。

「今度は君のやり方を見せてもらえんか。正攻法でアーガマの新型MSを略奪してもらいたいのだ。中尉ならできるはずだ。私に意見をするほどの器量をお持ちだからな」
バスクです。
映像にはありませんが、エマはバスクに先の作戦について抗議をしたようです。そこでバスクはエマを試すような提案をします。部隊司令の大佐にパイロットの中尉が意見するというのも軍隊ではありえない事なんでしょうが、しかしバスクの言いっぷりが実に嫌味です。
ここでかの有名なジェリドの「汚名挽回」発言が出てきます。言葉についてはともかく、バスクに軽くスルーされるジェリド。

エマは3機のMk-2を使い、カクリコンとデーバ・バロ中尉を従えて出撃する作戦を提案したようです。しかしそれはダミーで、実際にはフランクリンとカミーユを伴ってエゥーゴに脱走を企てます。
ここでフランクリンが一度脱走を断っているのがポイントです。バスクにいい印象はないでしょうが、エゥーゴに脱走するほどの動機もないし、何より愛人に会えなくなりますからね。それが後のフランクリンの行動につながります。


「私は、自分が信じるように生きていたいというだけで、何も変わってはいません」
無事アーガマに脱走したエマはこうつぶやきます。
後に逆の行動を起こすレコアとは最後の対決も含めて比較されますが、この一言だけ聞けば本質的にはそれほど違いはないといえます。もちろん、2人の「信じるもの」が決定的に違うのですが。
この後物語はフランクリンの空気読めなさと、それに対するカミーユの憤りをダメ押しして次回に続きます。