機動戦士Zガンダム第7話「サイド1の脱出」
久しぶりの更新です。
ライラが退場する第7話です。
後半で「電波な」「痛い」キャラ達にあれだけ出番があることを考えると、もっと活躍させてもよかったキャラクターだと思うんですが。
富野監督はライラという技術と経験を積んだ人物が、カミーユという経験のない天才に敗れる様を実にあっけなく描きます。
またライラは自分の価値観をクワトロに、技量をカミーユに、混乱させられてしまい、敗れます。
極め付けは戦闘終了後のジェリドとカミーユの対比。
何ともTV版Zの本領発揮といえるところです。
ジャマイカンに責められるジェリド。
前回の戦闘では出撃したMSの半分がやられた、との事。
ここで正規兵から連絡。
アーガマはサイド4に直進。ジャマイカン曰く「魔の空域」。
ライラがアーガマを「ニュータイプかも」と口にしたところで、すかさずジャマイカンが否定します。「ビデオ屋の創造物」という表現がいい。
●アーガマ
軍服姿のカミーユ。
ブレックスから正式なパイロットにと打診を受けます。
撃沈されたモンブランのパイロットもアーガマに合流した事が語られます。
ブレックスの説得の中で「地球圏は就労年齢者が極度に少なくもなっている」という台詞が出てきます。一年戦争の爪痕ですね。その割にガンダムシリーズには若者がたくさん出てくるわけですが。
あと、一年戦争を「前大戦」と呼んでいるのが少し珍しい。
テーブルにはリンゴ。
ジムⅡが2機。モンブランの艦載機?ミスのせいか、塗装が本来のものと異なる。
前話のレビューでも書きましたが、軍服の色が対照的なカミーユとクワトロ(下に着ているシャツ?も含め)。形状も違います。
クワトロ曰く「軍の人事広報を見てもアムロ・レイのあとは追跡できない」。
重力に魂を引かれた〜の話をするクワトロ。Zから多用されるこの表現は逆シャアまで続きます。
中尉待遇で扱ってくれるかとカミーユ。実際に後半のカミーユはほぼそういう扱いになりますね。
なぜ軍人に?というカミーユに対してのクワトロの回答が素敵。
「他に食べる方法を知らんからさ。だから今だに嫁さんももらえん。」
知らないというよりは、他の道から逃げて考えないようにしているのが今のシャアといえます。
サイド4に入り監視態勢のアーガマ。人員もMSも動員。
●ライラとジェリド
ここでライラのサービスカット。宇宙戦艦でどうシャワーを浴びるか、という生活描写でもあります。
やたらと豊満な描かれ方です。
目線のやり場に困るジェリドが良い。
ブリッジのジャマイカンはオペレーターに司令と呼ばれている。
作戦会議。
ジャマイカンの発言中に積極的に意見するライラ。
「作戦参謀は私だよ!」とジャマイカン。「大尉は戦争を好むタイプと聞いたぞ」
イヤミっぷりが強調されます。表情の演出がいいです。
ライラはティターンズではないからと、2人の部下とボスニアに戻って別行動でアーガマと対峙することに。
「いい男になってくれれば、もたれかかって酒が飲める。それはいいものさ。」
富野節全開です。
ライラの戻ったボスニアはアーガマを捕捉します。
●30バンチ
アーガマでは、ヘンケンが既にエマに対して気のあるそぶりを見せ始めます笑
それはさておき、30バンチコロニーをエマに見せようとするヘンケン。「なぜ我々が反地球連邦政府行動を起こしたか、わかってもらえる」と。入港したアーガマからクワトロ・カミーユ・エマの3人が突入します。
ボスニア艦長曰く「例の作戦で住民が全滅したコロニー」。ライラと艦長は、エゥーゴの秘密基地があるのではと疑います。
ライラはジャマイカンとティターンズへの対抗心から、アレキサンドリアとの連携を待たずに行動を開始します。
関係ないですが、ライラのノーマルスーツの左腕にはティターンズのワッペンが。なぜ? ティターンズの作戦に参加している証でしょうか。
荒廃した30バンチ。
コロニーのミラーが動かず、砂嵐が吹き荒れ、ミイラ化した死体が宙を漂っている。なんという地獄絵図。Zガンダム全話を通しても最もキツいであろう場面が続きます。
「直接、刃物を持って人を殺さないからさ。手に血がつかない人殺しでは、痛みがわからんのだ」
外壁にくくりつけられたままの毒ガスボンベ。
クワトロの解説。
30バンチのデモにはエゥーゴも何らかの形で関わっていたようです。主催かもしれない。
かつてのデモの記憶には「GET THE EARTH BACK TO NATURE!」「Let Spacenoid Rule the Earth」「ACCEPT! THE AUTONOMY of THE SPACE COLONY」などのスローガンが。
単独行動のライラは、一人でうろつくカミーユを発見。
「何でパイロットスーツを着ている?」の問いに「何でって、こうなってしまって・・・」というのはカミーユの本心でしょう。
クワトロとエマの会話。
「ニュータイプをエスパーのように考えているから、いつかそのニュータイプに主権を侵害されるのを恐れているのさ」
「それだけのために、人を殺せるのですか?」
「殺せるさ。ちょっとした借金のために人を殺すより、よっぽど理性的な行為といえる」
これを聞いたライラは混乱し、必死に否定しようとします。自分の所属する連邦軍と連邦政府が、まがりなりにも正義だと信じているのでしょうから。
●戦闘
急速発進するアーガマ。
カミーユがMkⅡを任されます。クワトロはアポリー機の黒いリックディアスで出撃。
ライラの「生意気な口をきいた士官」とはクワトロ。
「あんな子供に、あんな子供なのに!」
ガンダムMkⅡを自在に操縦して迫る子供のパイロット・・・ライラはカミーユをニュータイプと断定します。焦ってライフルを連射しますが、その動きはカミーユに見切られています。
アレキサンドリアではジェリドがブリッジに上がります。ジャマイカンはライラへ援軍を出すことを拒否します。この会話の時点で、ライラの死亡フラグが確定的になります。
MkⅡのライフルの直撃を受けるライラのガルバルディ。
「私がジャマイカンに言った通りだ。ジェリド、油断するな。奴は只者じゃない。そうか。私が今あの子の事を只者じゃないと言った。この解り方が無意識のうちに反感になる。これが、オールドタイプということなのか」
その理解は、しかしどうしようもないほど遅すぎた。
アレキサンドリアでジェリドは叫び、取り乱し、涙を流します。
ジャマイカンは爆発を見て「無様な」とだけ。
一方のアーガマでは、ブレックス以下大勢のクルーに笑顔で祝福されるカミーユ。「アムロ・レイの再来」とまで言われて。
戦争の非常な現実を若者達は知っていくのでした。