機動戦士Zガンダム第9話「新しい絆」

新しい絆というのは、カミーユとエマやエゥーゴの面々、カミーユとハロ、レコアとカイといった関係が当てはまるのでしょう。カイ再登場とウォンの修正、ハロ復活、百式マラサイ・ネモ・アイリッシュ級の新登場、リックディアスの色変更、白兵戦、カクリコンの奇襲と、相変わらず内容が濃いです。


ジャブロー周辺


6話以来のレコア登場。川を下りながら状況を分析しています。
ここでガルダ級が初登場。緑色なのでスードリでしょう。地上にうつるその影はまるで巨大な怪鳥といったところ。ジャブローからどこかへ向かう風ですが、レコアいわく「これで45機め」であり、そしてガルダ級は初めてのようです。
レコアはあっけなく連邦軍人に捕まりますが、ここで南米のジャングルに上下白いスーツ(!)のカイ・シデン登場。第1作のキャラクターとしては、シャア・ブライト・アムロ・セイラ(写真だけ)に続いての登場です。ずいぶんといい男になりました。連邦軍人はあっけなく逃げ出します。

「フリーのジャーナリストってさあ、いつバチカンに取材に行くかわからないだろう?」
意味はともかく相変わらずいいセリフ。
しかし彼はこのスーツで、いつどうやってこの場所に来たのだろうか。
初めからエゥーゴのエージェント(レコア)と合流してジャブローに潜入する予定だったのか?


●カクリコン

潜伏中のカクリコンと同僚キッチマン。
キッチマン、ハンバーガーの具がチキンであることに愚痴をいい、大口を開けてかぶりつき、カクリコンの「怖いのか」の問いに「当たり前でしょう」と答えます。冨野アニメはとにかく端役が生き生きとしている。

グラナダに連絡に向かった兵、マサダ軍曹の名が出てきます。この後もわざわざ名前が出てくるのでそこそこ重要かと思えば、単に端役です。



グラナダ

アレキサンドリアが停泊するそのすぐ隣に緑色の謎の新造艦!
アイリッシュ級初登場です。名前は出てきません。
ジャマイカンやアレキサンドリアのクルーはこれを見てどう思ったことか。
グラナダぐるみでエゥーゴに手を貸しているのでは、とジャマイカンに聞かれて反論する女性士官はマニティ・マンデナ。こちらも本編で名前は出てきません。
ジャマイカンに「アナハイムからの補給(MS含む)」を伝える兵は、カットによって正規カラーになってます。色ミスです。
マサダ軍曹が到着します。
補給が決まったところで、ジャマイカンはサチワヌをグラナダに残して2隻で発進しようとします。1隻残すのはグラナダへの疑念からきているのでしょうか。女性士官が「サチワヌは?」と聞き返すのが、後の展開を考えると意味深です。


●ハロ

ハロの修理に没頭するカミーユ
生活描写がいい。

アムロの名前を口にするハロ。10年前(カミーユ談)のチップが使われているハロ。ハロへの関心を募らせるカミーユ。集合の号令に反応せず、注意されても「軍属ではない」と言い、エマにぶたれます。アムロ・レイと違うのは、カミーユはぶたれても反応が薄いんですね。どこかうわの空というか。「親父にもぶたれた事ないのに!」と逆ギレするような感じが基本的にありません。


ジャブロー

「今日の48機め」の輸送機。ここで初めて「ジャブローの引っ越し」が語られます。
連邦軍ジャブローの機能を移転しようとしている。おそらくエゥーゴが襲撃をかけてくることも想定しているだろう。となればジャブローに襲撃する意味がないが、それをエゥーゴに連絡する手段がない。ということでカイはジャブローへの潜入を提案。
いやいや捕まるだろう。
ところでこれだけ輸送機が出入りしているのを知れば、誰だってジャブローが通常ではない事を想像するでしょうが、エゥーゴエゥーゴを支援する人々がそれを知る手段は全くなかったのでしょうか?


●アンマン

2隻のアイリッシュ級。色が微妙に違うのがポイント。左はラーディッシュや冒頭のグラナダにいた艦と同じ色。右の艦はエゥーゴサラミス改と同じ色。少なくともこの2隻は連邦政府の目を盗んで献金で建造されたものと語られます。
連邦政府スペースノイドの関係をウォンはかつてのヨーロッパとアメリカに例えています。歴史は繰り返す、と。

ここでZガンダム名物「修正」が初登場。この場面が強烈なので、ウォン=修正というイメージがある人って多いと思うんですよ。
パイロットの少年がエマに怒られながら手を引かれて、しかもミーティングに小脇にハロを抱えて遅刻して来るというのは、誰がどう見ても意識が欠けているので、武装組織の大人としてみれば修正せずにはいられないでしょう。
「つべこべつべこべと、なぜごめんなさいと言えんのだ!」
言い訳を話すばかりのカミーユに更にキレるウォン。ただ、生意気な少年がしょっぱなから殴り蹴りまくる男にすぐ「ごめんなさい」と言うかというとそんな事はないわけで。ここでもコミュニケーションが負の連鎖してますね。
カミーユが「暴力はいけない」というのは実に滑稽です。

目覚めたカミーユ
クワトロ以下グラナダへ出撃の準備です。アポリーとロベルトが久々登場。
クワトロいわくあのハロは市販されたもの。えっハロって市販されてたの?という疑問を受け付けないかのように会話が進みます。
この場面でのカミーユのセリフはまさに子供のだだといった感じで、作中でもっともカッコ悪いカミーユが描かれます。エマのビンタ(今話2発目)が飛びます。自分の都合で大人と子供を使い分けるな、という言葉はさすがにカミーユに響いたでしょう。これ以降ここまで面倒なカミーユは出てきません。


グラナダ出撃

出撃の目的は「百式のテストとグラナダの支援」。
百式が初登場。
リックディアスは「目立つ色」に。変更理由はアポリー曰く「味方に撃たれないため」、それが赤なのはロベルト曰く「大尉の色は人気がある」から。
これまでのカラーリングはティターンズ的で、しかも宇宙空間で視認しにくそうなものでした。それがより派手な色に変更されるのは、これからはそのうした一種の隠密性の必要がなくなったことを意味します。
ジャブロー攻撃も控えてますし、エゥーゴはいよいよティターンズに正面切って戦いを仕掛けるという事です。


出撃するクワトロ達はカクリコンの部隊に把握されてます。
カクリコンはあくまでアーガマを沈める機を伺っているのです。
「母艦を沈めれば、MSなんて人形みたいなもんだ」

ここで場面がアレキサンドリアに切り替わるのですが、出てくるのはガディ艦長です。同じ中の人が演じているキャラが続きますが、それほど違和感がないのがさすがです。
どこかジェリドを擁護するかのようなガディ。しかし「ハイザックの調子が良くない」という理由で彼は今回出てきません。


クワトロ達の後を追ってカミーユの出撃。
エマの檄が効いたのか、打って変わってやる気満々のカミーユ



アナハイム・エレクトロニクスの補給

マラサイ初登場。少なくとも5機。補給している場所はアナハイムでしょうか。
グラナダで正規軍が補給を減らした埋め合わせ、というのもあるのでしょうが、基本的には関係なく、エゥーゴの活動本格化を前に「アメ」も配っておこうというところでしょう。なんせ最新鋭のMSを数機、無償で贈ってますからね。
バスク大佐はここを無傷で手に入れるつもりだ」
「なるほど攻撃をしないで恩を売っておく」
「クギはさしておくか」

「我々はこの工場の強制捜査はしない。銃一発撃たないという事だ。その点をメラニー・ヒュー・カーバイン会長にお伝え願いたい」
「もちろん今日の分はバスク大佐へのご挨拶という事で、タダでよいと会長から申しつけられております」
ティターンズの世になると読んでいるわけか?」
「さあ、そこまでは」

言葉の駆け引き。


●戦闘

いよいよ動くカクリコン隊。2機のハイザックの腰には追加のミサイルポッドが。

MS隊が入港したのを合図に作戦開始を告げるグラナダの士官(向かって左)。知らなかったのか、作戦に不安なのか、右の士官がうろたえているのが細かい。

カミーユはここで作戦を知らされます。すなわちティターンズ艦(サチワヌ)の奪取。
百式の目が初めて光ります。

ドックには2隻のサラミス改が。色がどっちもティターンズ色ですが。一方はグラナダの艦という事でしょうか。

ハイザック初登場。てことはティターンズじゃないの?とも思いますが、劇場版Ⅱでもドゴスギアのハイザックが青かったり、いまいちこの青ハイザックって扱いがあいまいな気がします。

でも襲われるサラミス改のクルーの軍服もみな正規軍カラー。うーん。

白兵戦にテンパるカミーユ。ハロがついてきてるけど、誰も咎めないのか。そして相変わらずハロには銃弾が通じない。
陸戦兵の軍服は独特のもの。連邦軍の一部隊のものなのか、エゥーゴ独自のものなのか。色合いはエゥーゴらしいけど。

一方その頃アンマンでは2機のハイザックアーガマの入った港を襲撃。エマのリックディアスとジムⅡが迎撃です。
それを感じ取ったカミーユがクワトロに訴えてアンマンに戻ります。
しかし前話でティターンズの兵にアンマン周辺で襲われてるんだから、アンマンが襲われる事は予想できたと思うんですけどね。

ザク伝統のヒートホークを振りかざすハイザック

さらっと登場するネモ。百式と同様にアンマンでの補給品。

ハイザックのモノアイのアップが良作画。

後にマラサイも使うビームライフル


カミーユの登場で形勢逆転。キッチマンのハイザックが撃墜、自身も右手が破壊されてカクリコンは撤退。