機動戦士Zガンダム第3話「カプセルの中」

ルナⅡ。
スペースコロニーに使う岩石を採掘するため、アステロイドベルトから運ばれた小惑星である。
現在はグリーンオアシスの近くで地球連邦軍の前進基地として利用されている。


そんな説明のナレーションからスタートする第3話。今話からCMのアイキャッチの音が変わっています。


ボスニア

ライラ登場。艦長にもタメ口を聞き、いかにも豪快な感じです。
ボスニアは(あるいはルナ2では)謎の部隊(アーガマ)を捕捉していたが、ミノフスキー粒子が厚くなったため途中から行動の詳細は掴めていなかった。しかしおそらく部隊はエゥーゴで、その後グリプスに戦闘をしかけたのだろう。という場面です。


グリプス

グリプスに戻っているバスク
何もないデスク。窓の景色が残念です。
ボコボコのブライトに「ジャミトフ・ハイマン大将あての手書きの親書」を預けます。
ジャミトフの存在が初登場です。
わざわざグリプスに呼びよせたり、親書を手渡すタイミング、ジャマイカンの露骨な嫌がらせ等々、ブライトの悲哀とティターンズの横暴ぶりが目立つシーンです。最終的にはそんなブライトの指示によるコロニーレーザー照射でティターンズ艦隊が壊滅するのですから、世の中どうなるかわからんもんです(?)。
バスクのゴーグルを外した姿が貴重。
ここでのジャマイカンとバスクの会話は
・ルナ2の部隊がアーガマを捕捉した
・Mk-2を盗んだのはフランクリン・ビダン大尉の息子だ
この時点で既にMk-2の強奪犯がカミーユであるとバレてます。


アーガマ

アーガマと緑のサラミス改「モンブラン」。アーガマは重力ブロックを回転させています。Zらしいギミックというか描写です。
アーガマエゥーゴの3大主要メンバーと会話するカミーユブレックスからは好感触のカミーユですが、本人は戸惑っているようです。まあここまでノープランで動いてますからね。
ヘンケンの後ろの自販機にはBEARと書かれています。BEERのミスなのでしょうが、じゃあ戦艦にビールがあるのかと考えると謎です。
ブレックスの階級は准将。
エゥーゴの制服は主に連邦軍の制服デザインをアレンジしたものが使われています。というかそもそも正規の軍ではなく寄せ集めなので、統一された制服はないのでしょう。ここで登場するクワトロ・ヘンケン・ブレックス・レコアの制服は彼らの特注と思われます。組織のトップであるブレックスが緑を選んでいるのがポイントです。
アーガマを除くエゥーゴの艦艇とジムⅡ及びネモのカラーリングには、若干の違いこそあれいずれも緑が使われていますが、これもブレックスの意向であるのかもしれません。


ボスニア

アーガマを捕捉したボスニア。「足を止めて臨検をする」「沈めるのが目的でない」と念を押す艦長。
ライラのノーマルスーツは専用色です。


アーガマ

クワトロ、ヘンケン、ブレックス。物語初期のエゥーゴは基本的にこの3人で動いています。

クワトロらと色違いの制服の士官。色はグレーと黒です。

アストナージ初登場。初回から無精ヒゲ。
グリプスでクワトロが撮った写真の分析をしています。
グリプスのドックで作っているのは「戦艦」で「かなりのもの」。後のドゴス・ギアでしょうか。
・Mk-2の装甲は昔のまま
Mk-2は所詮Mk-2ということで、次の機体(どれ?)から新装甲が使われる予定であること、フランクリンは今後ジオンの技術をとりいれていく方向であるとの事が語られます。
3話目の時点で既にボロクソに言われるMk-2ですが、逆に言えば、既に実績と信頼のある技術で建造されたのがMk-2という見方もできます。堅実な設計だからこそアーガマでも問題なく運用でき、ネオジオン抗争まで活躍できたのだと思います。
反対に今後ジオンの技術を導入し新しい機体を開発しようというフランクリンには、既存の技術ばかりで手堅くまとめられたMk-2には既に全く魅力がなかったのでしょう。後に彼が見せるリックディアスへの食いつきっぷりは対照的です。


ガルバルディのモノアイにはリックディアスのように十字の線が入っています。今作から、モノアイの描写も「ただの光る丸」ではない凝った描写がみられるようになります。頭から信号弾を出すのはおもしろいギミックです。


アレキサンドリア発進

バスク・ジャマイカンとビダン夫妻を乗せたアレキサンドリア
ここで注目すべきはガディ艦長、正規軍の制服です。
というか初期の制服の設定が謎です。バスク以下主要メンバーは黒と赤なんですが、グリーンノアの士官の一部やアレキサンドリアのクルーは紺と黒の制服なんですね。あのMPマトッシュもそうですし、よく見るとアーガマ内でも見られます。彼ら紺+黒の士官が全員ティターンズであるかというと、そうではないように見えます。
もしかするとこの時点では、黒+赤の制服の軍人だけが正規のティターンズ所属であって、アレキサンドリアのクルーなどは正式には正規軍所属だったりするのかもしれません。


●ライラとガルバルディ

エゥーゴのコソドロめ!」素敵な表現です。
アーガマを見て驚くライラ。アーガマ連邦軍の戦艦でなく、エゥーゴが独自に建造したものであるらしいと語られます。
ブレックスは追手の詳細がわかっていない段階で「ガルバルディが来るぞ!」と言います。グリプスバスクの隊でない→ルナ2の部隊だという想像をした上での発言です。この時点でガルバルディはルナ2の主力MSであり、ティターンズには配備されていないのでしょう。レコアもカミーユも知っている機体なのでそれなりにメジャーな機体でしょうが、カミーユが「ルナ2のボスニア所属の」と特定している所が謎です。まさかボスニアだけにしか配備されてないとは思えませんし。
機数は4機。ガルバルディのスピードの速さが強調されます。


●ビダン夫妻

短い場面ですが不仲っぷりをこれでもかと視聴者にアピールする2人。劇場版でも同じ場面がありますが、ここでの編集が絶妙です。浮気相手の事を持ち出されたフランクリンはTV版ではヒルダをビンタしますが、劇場版では初めてバレていることを知ったかのようにうろたえるのです。
夫婦が不仲である状況を表現するのには劇場版の描写で充分です。逆に言えばTV版の描写は過剰であり、より後味の悪いものです。こうした描写の積み重ねが殺伐としたTV版Zの雰囲気を作り出しているといえます。


ボスニア撤退と停戦

エゥーゴのジムはこの時点ではまだ白+赤。
ガルバルディが一機撃墜されて撤退信号が出されますが、アーガマも機関部に被弾します。
ライラの部下の声は鈴置さんでしょうか。
アレキサンドリアでは人質作戦のミーティング。さすがに人道的な問題からか、人質作戦である事は伏せるジャマイカン。余談ですが、やはり正規軍カラーの兵がいます。
エマは「初めてハイザックに乗る者もいるが」と発言します。前話でのジェリドもそうでした。
初期のティターンズパイロットたちはやはり経験の少ないメンバーばかりのようです。

アーガマに乗りこむエマ。アーガマクルーの「いい女じゃないか」「主義者だってのか」なんていうモブのセリフがなんとも富野アニメっぽい。
何と破廉恥な!の後、一瞬ブレックスの声がヘンケンになります。
「まるでヤクザだ」「私兵だよ。私の軍隊」「地球の引力に魂を引かれた人々の私兵」たたみかけるブレックス
「地球の引力に魂を引かれた人々」という言葉は今後もシリーズ内で多用されます。ネオジオン時代のシャアも同じような表現を使いますが、それはブレックスの影響が多少なりともあるはずです。
所属している「ジオン残党狩りのエリート部隊」のまさにヤクザなやり口に混乱するエマ。
しかしこの作戦、人質とはいっても要求を蹴った場合にエゥーゴはそんなに損するわけでもないですよね。人道的にどうなのかというだけで。バスクとしてはガンダムMk-2が戻ってくれば御の字、そうでなくてもどのみちアーガマを足止めできるといったところでしょうか。いずれにせよ既にビダン夫妻には価値を見出してなかったのでしょう。


この後、事態は最悪の結末を迎えるわけですが。カプセルに入れられたヒルダはどこまで知らされていたのでしょう。そしてカプセルの中で、迫りくるMk-2に何を言っていたのでしょうか。恐怖にひきつって何かを言っている表情のアップが印象的でした。